「宿題、しなきゃいけないんでしょ……」
「歯みがき、しないといけないんだよね……」
誰に怒られたわけでもないのに、ため息まじりにそうつぶやく娘。
帰宅してランドセルを床に置いたまま言ったひと言に、私はとっさに「そうだよ、早くやっちゃいな」と返してしまいました。しょんぼりした娘の背中を見て、あとから「あ、なんか違ったな」と後悔する。我が家の定番です。
「しなきゃ」が増えると、何が起きている?
小学校に上がると、子どもの口から急に「〜しなきゃ」「〜しないといけない」が増えます。宿題、歯みがき、お片付け。ちゃんとやってくれるのは、正直ありがたい。
でも、義務感だけで動いている子どもを見ていると、こちらの胸が少しきゅっとなるんですよね。
教育現場で感じてきたのは、「〜しなきゃ」が増える背景に、「やらないと怒られる」「失敗したらダメ」という不安が育ち始めているケースが多いこと。自分で判断する前に、まず「ちゃんとしなきゃ」が出てくる状態です。大人も、義務感だけで動いているとどこかで息切れしますよね。
「本当はどうしたい?」のひと言が、空気を変える
あの日の夜、娘が宿題を広げながら、またぼそっと言いました。
「早く終わらせなきゃ」
そこで私は「そうだね」の代わりに、「本当はどうしたいの?」と聞いてみたんです。娘はしばらく黙ってから、「…少しだけ先に遊びたい」。
「じゃあ、何時になったら始める?」
「6時になったらやる」
「そっか。じゃあ6時にまた声かけるね」
それだけです。内容は何も変わっていない。でも娘は、ほんの少し笑みを浮かべて遊び始めました。「しなきゃ」から「自分で決めた」に変わっただけで、表情ってこんなに違うんだと、正直驚きました。
「本当はどうしたい?」が難しそうな日は、「遊びたい? それとも先にやっちゃう?」と二択にしても大丈夫です。
選ぶ余地があると、動きやすくなる
ペアレントトレーニングで学んだ話ですが、子どもは「やる・やらない」ではなく「どうやるか」を選べる状態になると、行動が前に進みやすいそうです。「自分で選んだ」という感覚があるだけで、「やらされてる」から「やってる」に気持ちが傾きやすくなります。
ここで使えるのが、共感サンドイッチ(共感→選択肢→距離)です。ガチャガチャの記事で書いた型の、真ん中を「事実」から「選択肢」に替えた形です。
事例① 歯みがきをしぶるとき
(共感)まだ遊びたいんだよね、わかるよ
(選択肢)歯みがき、リビングでする? それとも洗面所?
(距離)パパは洗面所で待ってるね
事例② 宿題がなかなか始まらないとき
(共感)今日疲れたよね
(選択肢)ご飯の前にやる? 後にやる?
(距離)決まったら教えてね
「今やっちゃいなよ!」と言いたくなる気持ち、私もしょっちゅうです(笑)。でも、ぐっとこらえて選ばせてみると、意外とさっさと動いたりします。
まとめ|「しなきゃ」の口ぐせは、SOSかもしれない
子どもの「しなきゃ」が気になったら、責める必要はありません。「本当はどうしたい?」とひとこと聞いてみる。それだけで、全然違う会話が始まったりします。
声かけのポイント、まとめると
- 「やる・やらない」ではなく、「どうやるか」を選んでもらう
- 時間も「いつやる?」と子どもに決めてもらう
- 決めたあとは口を出さず、少し待つ
- できたら「自分で決めてやれたね」と伝える
何度か繰り返したある日、娘が6時ちょうどに「パパ、もう6時」と自分から声をかけて、宿題を始めました。私が言わなくても、娘が自分で決めた時間の合図でした。

