「走らないで!」
「触らないでって言ったでしょ!」
気づけば1日に何十回も言っている、あの言葉たち。止めなきゃいけないのは分かっているし、子どものためを思ってのこと。それでも言ったあと、なんとなくモヤっとしませんか。
私も正直、今も普通にあります。
「ダメ」が届きにくいのは、なぜ?
講習で聞いた話では、「走らないで」と言われた子の頭には、いったん“走っている自分”が浮かぶそうです。禁止の言葉は、その行動を思い浮かべさせてから打ち消す形になるので、小さい子ほど「じゃあ何をすればいいの?」が見えにくいんですよね。
教育現場で16年、「ダメ」で一瞬止まっても、次の行動に迷ってまた同じことをしてしまう子をたくさん見てきました。叱る側も叱られる側も、どちらも消耗してしまいます。
だから意識するようになったのが、次にすることを伝える言い換えです。
言い換えは、ふたつの型で
事例① 短く言い換える
「走らないで」→「歩こうね」
「触らないで」→「そっと見ようね」
事例② 理由をセットにする
「走らないで」→「滑ると危ないから、廊下は歩こうね」
「触らないで」→「割れやすいから、見ようね」
「喋らないで」→「みんな読んでるから、静かに読もうね」
「汚さないで」→「エプロンしてから食べようか」
理由が分かると、子どもは自分で動けるようになります。娘に試したら、翌日から「割れるから触らない」と自分で言い出して、こっちが驚きました。今は2歳の息子も「見るだけね。触っちゃダメね。」と、自分から言っています。笑
とはいえ、最初は全然できませんでした。「歩こうね」と言うつもりが、反射で「走らない!」。あとで「また言った…」とため息をつく繰り返しです。なので、全部を言い換えようとしなくていいと思っています。ひとつだけ、試してみる。それくらいのゆるさで十分でした。
言葉より先に、顔が届いている
同じ「歩こうね」でも、眉間にシワを寄せて言うのと、目を合わせてふっと笑って言うのとでは、子どもへの入り方がまるで違います。言葉より先に顔が怖くなっていること、私もあります。
そんなときは、まず一呼吸。言葉と表情が同じ方向を向いたとき、子どもの耳がいちばん開いてくれる気がします。
まとめ|「何をすればいい?」が見えると、子どもは動ける
「ダメ」から「〇〇しようね」へ。それだけで動きが変わることは、確かにあります。毎回できなくても大丈夫です。
私も、反射で「走らない!」が先に出る日がまだあります。
言い換えのポイント、まとめると
- 「ダメ」の代わりに、次の行動を伝える
- 小さいうちは短く、分かる年齢になったら理由もセットで
- 「ちゃんとして」より、「箱に入れてね」と具体的に
- 言葉と表情が同じ向きか、ちょっとだけ見てみる
全部やらなくていいので、まずは「ひとつだけ」。今日の廊下で「歩こうね」と言えたら、その日はもう合格です。

