「私より、弟が作ったご飯のほうが美味しいよ。きっと。」
ある日の夕方、小学1年生の娘が、いただきますのあとにポツリとそう言いました。
この日は、本当は娘も一緒に3人でご飯を作る予定でした。でも直前で「やっぱりやめる」と言ったのは娘本人。だから私は、2歳の弟とそのまま作り始めたんです。
出来上がるころには、娘の顔がちょっと曇っていました。
「そんなふうに言わないで」と、つい注意してしまった私。あとから振り返って、ふと気づきました。これは自己否定じゃなくて、「本当はやりたかった」の裏返しだったんだ、と。
言っていることと本音が、ズレるのはなぜ?
小学校に入ると、言葉も気持ちの表現もグッと広がります。そのぶん、心の中で起きていることと、口から出てくる言葉がズレることも増えるんですよね。
娘は自分で「やめる」と言いました。でも内心では、ちょっと後悔していたのかもしれません。
「誘ってほしかった」
「一緒にやりたかった」
「でも今さら言えない」
そんな気持ちが混ざって、自分を下げるような言葉になったんだと思います。あのとき私が伝えるべきだったのは注意じゃなくて、「本当は一緒に作りたかったんだよね」という、ひと言の共感でした。
「正論」より「気持ち」を先に
「自分でやめるって言ったでしょ」「そんな言い方しないの」。つい正論を言いたくなりますし、私もよくやってしまいます。でも子どもにとっては、“正しい行動”より、“気持ちをわかってもらえたか”のほうが、ずっと大事だったりします。
こんな行動が出たときは、多くの場合、裏に「本当はこうしたかった」が隠れています。
- 相手を褒める言葉が出てこない
- 自分を下げるようなことを言う
- すねたり、いじけたりする
教育現場でも、大人が気持ちを受け止めただけで、子どもが落ち着いていく場面を何度も見てきました。
すねたときの声かけ、2ステップ
娘と同じように、やりたかった気持ちを抱えている子には、こんな順番で。
① 気持ちを代弁する
「一緒に作りたかったよね」「できなくて残念だったね」。気持ちに名前をつけるだけで、子どもの心はほぐれます。
② 「次はこうしようか」と未来を提案する
「次は途中で入ってきてもいいからね」「次は一緒にやる時間を先に決めようか」。「次がある」と思えると、安心できます。
弟を褒める言葉は、無理に言わせなくて大丈夫です。気持ちが落ち着けば、自然に出てくることもあります。
まとめ|すねるのは、心が育ってる証拠
この時期の子どもは、感情の波が大きいぶん、素直で、まっすぐで、ちょっと不器用。行動を直そうとするより、まず気持ちを拾うほうが、結果的にいちばんラクだと感じています。
私も、反射で注意して後悔することが、毎日のようにあります。それでも大丈夫です。
すねる子への声かけ、まとめると
- 「本当は〜したかったんだよね」と気持ちを代弁する
- 「次はこうしようか」と未来を提案する
- 弟(妹)を褒める言葉は、無理に言わせない
- 正論より、共感が先
顔が曇ったままだった、あの夕方。いまの私が声をかけるなら、「一緒に作りたかったんだよね」のひと言だけで足りたんだと思います。

